2011夏アニメ 『神様のメモ帳』 第13話「君と僕と彼女のこと〈完〉」までのまとめ感想

神様のメモ帳001

幼い頃から転校を繰り返し、今度もまた新たな街へと引っ越して来た主人公『藤島鳴海』。
父は家に寄り付かず姉と二人暮らしをする鳴海は人と深く関わる事を避け、人との関わりを求める事もなかった。

そんな鳴海は突如、半裸の女性が落ちて来るという事件に遭遇。
これが漫画の世界ならラブコメが始まるのだろうが、あいにく事件現場はラブホテル街。
おそらく痴情のもつれから来る事件だと容易に想像がついた。

神様のメモ帳002

落ちてきた女性に駆け寄り、安否を確認しようとする鳴海に後ろから銃が突きつけるミリタリーマニア風の小男。
どうやら落ちてきた女性の関係者と間違われたようだったが、そもそも何故そんな事をするのか?何者なのか?

鳴海は無関係の人間だとわかるや否や鳴海を放り出し、落ちてきた女性とその連れの若い男を連れて立ち去っていく三人組の男。
結局、その正体も目的も分からぬまま鳴海も面倒事に関わらぬようその場を立ち去る。

神様のメモ帳003

神様のメモ帳004

その後、学校で突然声を掛けてきた『篠崎 彩夏』に連れられて向かった先には、偶然にもラブホテル街で出会った三人組みが居た。

神様のメモ帳005

『テツ』、『少佐』、『ヒロ』。
彼らは『ニート』で、ホテル街での一件で彼らに指示を出していた存在が『アリス』と呼ばれる少女だった。

神様のメモ帳006

神様のメモ帳007

アリスは『ニート探偵』、死者の代弁者を自称する。
探偵で尚且つニートであるというのは、ニートは無職ではなく雇用されていない個人事業主も該当するという見解らしい。
全世界の探偵を敵に回しそうだが、そこは置いておく

神様のメモ帳008

「既に死んでしまった者、失われてしまった物に対して何か意味の有ることを成せる職業はこの世にたった二つしか無いんだ」
「つまり、作家と探偵だ」
「作家だけが、夢の中でそれを蘇らせる事が出来る」
「探偵だけが、それを墓の中から掘り返して情報に還元する事が出来る」
「だが、探偵が掘り返した情報は結局のところあらかじめ神様のメモ帳に記されている事実にすぎない」

「神様のメモ帳?」

「神様のメモ帳。素敵なくらい無責任な言葉だろう?」

アリスはその卓越したコンピューター技術と驚異的な推理力によって部屋から一歩も出ずに事件を解決する能力を持っていた。
だがその反面、部屋に引き篭もりがちで不摂生の塊のような日常を送っており、ラーメン店主『ミン』と彩夏によって最低限の衛生と健康を保っているようだった。

一見完璧に見えるが、その実はあまりにも不完全であり自分では何も出来ない少女。
それがアリスだった。

神様のメモ帳009

神様のメモ帳010

鳴海が遭遇した例のホテル街の事件もアリスが近辺を仕切る『平坂組』の『四代目』に縄張りで問題を起こす人間の調査を依頼され、その犯人を捕まえた所に出くわしていたのだった。
だが、その肝心の犯人である『木村 未来』は一度つかまりながらも未だに問題を起こし続けていた。

未来が問題を起こし続ける目的は、失踪した『佐久間 翔子』の捜索。
その為に、翔子が関わっていた人間達に接触し情報を聞き出そうとしていたのだった。

神様のメモ帳011

だが、情報を聞き出すために冒頭のように危ない橋を渡り続けるのは無謀だという事は明白だった。
その危険な行為を止めるため、未来の前に真実を伝えに現れるアリス。

既に翔子は自殺しており、それを知る『寺岡 智』が死体を隠匿していたのだ。


優等生の翔子を知る未来と自由に生きる翔子を知る智。

二人は翔子を探すという共通の目的を持ち、時間を共有する間に互いの知る。
そして、知らない彼女の事『本当の彼女』を知る事が出来た。

自殺した翔子自身にとっても二人は掛け替えのない存在だった。
だからこそ、知られたくなかった部分を隠すため自殺の道を選んだ。

神様のメモ帳012

「そう思いたければそう思いたまえ」
「根拠のない憶測に過ぎないが、誰もその事で迷惑する者は居ないからね」

誰もが知られたくない秘密があり、知って欲しい想いがある。

ニート探偵の仕事はその全てを生者に知らせる事。

それは同時に死者への冒涜にもなる。
だが、生者はそれを知る義務がある。

神様のメモ帳013

「この恥知らず、それでも僕の助手のつもりか?」

人と深く関わりを持たずに生きてきた鳴海。
それが、アリスと出会い事件に巻き込まれた事で変わり始め、多くの絆を紡いで行く事になる。

神様のメモ帳014

「サワディー」

鳴海がアリスの助手として働くようになって暫くが過ぎた頃、二億円の入ったボストンバッグを持ち褐色の肌をした少女『メオ』が事務所を訪ねてくる。

神様のメモ帳015

メオの依頼は父親の捜索。
彼女の父親はヤクザの資金洗浄を受けおっており、その金銭トラブルから当初メオを置き去りにして逃亡を図ったかに思われた。

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「お父さんはもう帰ってこないと思う」

「えっ?」

「きっと一人で逃げちゃったんだ」

自身の経験から父親という存在に信頼を持てなかった鳴海は、メオに対し父親の事を酷く中傷する言葉を投げかけ泣かせてしまう。

神様のメモ帳017

だが、実際には『岸和田会』の美河という男の陰謀で、メオの父親はその濡れ衣を着せられ殺されそうな状況下に置かれていた。
だから、メオの父親はメオに逃げるように言い含めて、メオから離れて行ったのだった。

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神様のメモ帳019

「チャルミー」
「メオの本当の名前」

真実を知り、自分の行いを後悔した鳴海はメオを岸和田会の人間から必死に庇い怪我を負う。
自分の為に怪我をした鳴海の姿を見て、信頼できる人間であると確信したメオは本来誰にも明かさないはずの本名を明かす。

これが、ゾイドジェネシスのコトナさんなら結婚フラグ

神様のメモ帳020

「このままじゃ、自分自身が許せないんです」
「せめてメオに信じてもらえる人間になりたい」
「でも、今の僕じゃメオを守れない」

これまで、他人との関わりや信頼関係を深く持つ事を避けてきたであろう鳴海が自分から他人の為に何かをしてあげたいと願った。

自分自身の年下の褐色肌嫁フラグ贖罪、メオを悲しませた事への罪悪感もあったがこれは明確な変化。

神様のメモ帳021

「虫がいいのは分かってます。けど、お願いです僕に力を貸してくれませんか?」

メオの信頼に足る人間になろうと考えた鳴海。

その為には自分一人の力では非力すぎた。
そこで、四代目との兄弟盃を交わす事となる。

神様のメモ帳022

「あんな大嘘ついたの初めてで」

鳴海の発案によりメオの父親を助ける為に現金ではなく、銀行口座から本部へ直接送金を利用した身代金の受け渡しを仕掛けるニート探偵事務所の面々。

現金を自分の懐に入れる腹づもりの美河は本部への送金を阻止するためにメオの父親を連れて銀行へ現れる。
そこで、メオの父親を奪還すべく虎視眈々と待ち構えていたテツと平坂組ノ面々が襲いかかる。

神様のメモ帳023

岸和田会から救出された父親と嬉しそうにデートへ出かけるメオ。

それを実現したのは自分と違い、盲目的に父親を信じ、父親に愛されているメオに悲しい思いをさせたくないと思った他ならぬ鳴海の発想と行動力。

これまでの日常がそうであったように、今回も傍観者的立ち位置からただ眺めている事も出来ただろう。
だが、それが一転し自分から事件を解決しようと動き出す。

やはり美少女絡みだと救いたくなるのは男の性少しずつアリス達の影響を受け、持ち前の人のよさと才能を発揮し始めたという事だろう。

神様のメモ帳024

ある日、『ラーメンはなまる』の店主でもあるミンさんの家にサラシ泥棒が侵入者するという事件が起きる。

「あなたは芸術家である僕がデザインした下着をつけるべきなんだ!!」

その事件は表面的には行き過ぎた(いろいろな意味で)下着業界の人間『木村富雄』による、ミンさんへのブラジャー浸透計画。
しかし、その実は失踪したミンの父親が娘にラーメンのレシピを書き残す為に玄関のドアを開けて侵入した所に偶然居合わせその開いている玄関を利用して侵入したという物。

神様のメモ帳025

「次来たときはアイスも食わせろ」

玄関の鍵を変えず、失踪した父親待ち続ける娘。
その娘に対し、顔も見せずにレシピだけ置いて立ち去っていく父親。

どちらも不器用で、とても愚直な行為。
そこにメオの時と同様に、親子の絆の深さを感じた鳴海だった。

神様のメモ帳026

「ほらほら、言ってみたまえ。どんな匂いがすると言うんだい?」

「や、やめ・・・」

寝汗をかく事で夏の訪れを感じる頃、鳴海はアリスの部屋で掃除や洗濯といった身の回りの世話に勤しむ。
特に、ずっと放ったらかしのままだったアリスのベッドシーツやヌイグルミは洗濯をする事に。

しかし、当のアリスは洗濯に大反対し鳴海に何処が問題なのか立証するようヌイグルミを突きつける。

鳴海にとっはアリスの体臭がする事は大喜びそれ程問題ではないのだが、それを意識してしまうと気恥かしさを感じるので洗濯をしたいのだった。
神様のメモ帳027

「仕事の依頼かい?」

「いや、園芸部を借りに来た」


そんな洗濯の押し問答の最中、事務所を訪れた四代目こと『雛村 壮一郎』。
彼は今度、平坂組が取り仕切るライブイベント(バンドのプロモーション)の広報を鳴海に依頼しに来たのだった。

アリスの時もそうだったが、鳴海は何故だか人に才能を見込まれやすい性質のようだ。

神様のメモ帳028

「冗談じゃない、じゃあ僕の事務所の家事は誰がやるんだ?」

アリスに扱き使われるよりはマシな仕事前回のメオの一件から四代目とは義兄弟であり、借りもある鳴海は責任ある立場に苦手意識を持ちながらもその仕事を受ける。

ただ、そのプロモーションの話には続きがあり、それ以前にプロモーションを請け負っていたヤクザとのトラブルが起きる可能性があるという事だった。

普通の一般高校生では関わることのない世界。
鳴海はメオを救うため、誰かを救うため危険は承知の上で敢えて自分からこの世界に飛び込んだ・・・はずだったが、今回のようなゴタゴタに巻き込まれる覚悟はしていなかったようで若干ビビる鳴海。

神様のメモ帳029

「水割り4つちょーだい」

危惧していたようなゴタゴタも実際には起こらず、順調にプロモーションが進んでいるように思えていた矢先。
鳴海は訪れたライブハウスで奇妙な関西弁の男『平坂 錬次』と出会い、喧嘩騒動に巻き込まれた事で暫く行動を共にする。

神様のメモ帳030

「完全にぶっ壊れるなんて事、ないと思います」

「あるやろ、もう何遍も自分から・・・」

「ないです」

明るく振る舞う中に何処か危険で寂しい表情を見せる錬次は、過去に壊してしまった友人関係の経験から失った物は二度と戻らないと考えていた。
だが、その考えを真っ向から否定する鳴海。

普段の鳴海からは想像も出来ない事だが、メオやミンの事を側で見て来た鳴海は自身もこれまで考えもしなかった大切な人間同士の絆の強さを実感し始めていた。
だからこそ、そうであって欲しいと願い、そうであると言い切る。

そんな鳴海を気に入ったのか、飄々としながら何を考えているのか掴めない錬次は試しに友達になる事を切り出す。
だが、鳴海は友達は試しになるものじゃないと言い、真剣に友達になる事を切り出そうとするが先程の喧嘩相手が追いかけて来たことで錬次とは有耶無耶の内に別れてしまうが鳴海はその後も錬次の事が気になっていた。

神様のメモ帳031

「俺に何かあったら、お前がコイツらをシメろ」

「嫌ですよ」

「ふっ」

順調だったプロモーションだったが、ついに恐れていた事態が起こる。
平坂組を名乗る人物たちにより、ライブハウスで暴力事件が起こされたのだ。

もちろん容疑者は平坂組の人間ではなく、平坂組を陥れようとする別の何者か。
そして、その容疑者と繋がる人物は平坂組の倉庫の鍵を持っている人間。

その条件に当てはまる人物に心当たりがあるのか、四代目は鳴海に対して不吉な言葉を口にした。

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「えーと、ちゃんとアリスの事も大切に思ってるよ」

「なっ、ななな・・・何だと?」
「なんだ君は一体、急に変な事を言い出して」

『そしてデレ期へ…』

平坂組の仕事にばかり時間を割き、事務所の仕事アリスとの時間を疎かにする鳴海に対して拗ねるアリスに対して鳴海はアリスの事も大切に思っていると優しく囁く。

最初は他人との距離を置いていた鳴海が、人との絆を信じるようになり。
いつの間にか身近で大切な存在となってしまっていたアリスに、ちゃんと自覚している自分の気持を伝えるという素晴らしいワンシーン。

確かに、平坂組よりもこんなアリスとのイチャイチャした日常に番組的にも時間を割くべきだろう

神様のメモ帳034

「そこは止めとけ」

アリスの御機嫌をとる為、訪れていた上野動物園で錬次と再開した鳴海。
ここでもやはり意気投合し、互いに相手を気に入る二人だったが・・・。

錬次は鳴海との別れ際に言った言葉が二人の関係に影を落とす。

神様のメモ帳035

錬次と四代目の過去にあった因縁。
それは大切な女性の死とそれにまつわる汚い裏社会のやり口の話だった。

四代目を信じる鳴海と、四代目を憎む錬次。
話は平行線を辿り、話し合いは破綻に終わる。

神様のメモ帳036

「今でも二人とも忘れてないのに」
「どこかに嘘が、どうしようもない掛け違いがあるんです」
「なきゃいけないんです」
「そうでなきゃ、僕らは・・・。僕らの繋がりはこんな簡単に壊れたりはしない」
「だから、アリスに依頼してください」
「探偵は、その為に居るんです」

ようやく手に入れられたと思った大切な仲間、信じられる家族のような存在。
それがこんなに簡単に失われる筈がない。

鳴海自身の願いにも似た言葉が紡がれる。

隠された真実はシュレディンガーの猫のように色々な可能性をはらみながら存在する。
それは、あるいは絶望的な物であるかも知れない。

だが、鳴海はそうである筈がないと信じて真実を探すように求める。

神様のメモ帳037

「依頼しにきた」

鳴海の言葉にほだされたのか、アリスに依頼をしに来た四代目。
その行為に一端は安堵した鳴海だが、四代目の口から錬次の言っていた事件が事実だと聞き再び意気消沈する。

眼に見えない物を信じ、真実を見誤る。
鳴海の言動は、アリスの言うとおり探偵としては失格な行為だが・・・。

神様のメモ帳038

「どうにもこれはおかしい、筋が通らない」

調査をすすめる内、錬次や四代目の言うとおりの事件が実際に起きていた事が判明する。
だが、その後の状況に疑問点が多くあった。

事件の真相は錬次の言った前提が間違いで、命を狙われた錬次の大切な女性『喜善』を四代目が庇ったが守りきれなかったという事だった。

だが、四代目は喜善を守りきれなかった事を悔い、贖罪として錬次の憎しみを受け止めているのだった。

その真実が分かった矢先、四代目が錬次たちの仲間に襲われ重症を負わされたと一報が入る。

神様のメモ帳039

「僕はあの人の弟だ。だから、戻ってくるまで組は僕がシメる」

錬次の策略により負傷した四代目に代わり、錬次に報復をするため暴走しかけた平坂組の組員を諌めた鳴海。

神様のメモ帳040

「今度は向こうから仕掛けてくるはずだ」
「恐らく、ライブ当日。イベントの混乱に乗じてね」

組員の暴走を食い止めはしたものの、四代目の大切な物を全て壊そうと考える錬次はライブを妨害し、組を事実上破壊しようとする。

だから、鳴海とアリスは逆に錬次を誘い出し真実を語る事にする。

神様のメモ帳041

「両方共、同じ人間の手によるものだという事だよ」

ライブ当日、バンドのヴォーカルが来た服。
それは錬次が大切にしていた服であり、喜善によって完成する筈だった思い出の品。

それを完成させ、大々的に目につくようにして錬次を呼び出すことに成功した鳴海。
そこで、何故未完成だった筈の服が完成しているのか真実が明かされる。

四代目が隠そうとした真実は死よりも酷く、辛い目にあった喜善の真実だった。
そして、それを錬次に知られないようにする為にあんな嘘を言っていたのだ。

神様のメモ帳042

「何が死者の言葉だ、くだらない」
「わずかな慰めの為に言葉も交わさず、傷つけあうのか?」
「君達は生きてココに居る」

真実を隠し、憎まれる事で罪滅ぼしをしようとする四代目。
憎しみで悲しみを忘れようとする錬次。

それは、互いに馬鹿で愚かな行為。
今すべきは、生きている人間同士これからを自分で選択する事。
互いに断ち切れずにいる物をどうするのか?を選ぶ事。

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神様のメモ帳044

「頑張るよ。たった5%でも、僕がここに・・・アリスの側に居ていいって思ってくれるように」

「なっ、なな何だいきなり」
「生来ニート気質のくせに働きすぎて頭がおかしくなったんじゃないのかい?」

「いや」

「僕が何だって?側にプランクトン並みの鈍さの君が居ることを、ぼっ僕がどう思うかだって?」
「これだけ一緒にいても分からないのかい?」
「君なんて、君なんて・・・。僕がどれだけ・・・」

事件が解決し、互いのわだかまりはなくなった錬次と四代目だったが借金の残る錬次は東京に落ち着くことはなく大阪へ戻る事に。

だが、二人とも今度は大切な物を失った別れではない。
二人にはまだ、これからが作れるのだから。

そして、二人の関係を身近で見て大切な絆が簡単には壊れないものだと改めて実感した鳴海。
ニート探偵を続けるアリスの重荷を代わりに背負っていく為、大切な人を守る為、立派なニートになる決意を新たにする。>えー

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神様のメモ帳047

「お前、彩夏の彼氏?」

夏も終わりに近づく頃、鳴海たちはネモさんとの野球勝負で平穏を守ったゲームセンターで彩夏の兄『篠崎 俊夫』と出会う。

神様のメモ帳048

俊夫はテツたちとも以前からの知り合いで、当然ながらニート。
だが、危険なドラッグ『エンジェルフィックス』に手を出すなど精神的に脆く世界に劣等感を抱いているようだった。

神様のメモ帳049

特に妹の彩夏の気遣いを煙たがり、挙句に彩夏は自分よりも駄目な人間の世話を焼く事で安心する人間で、その為に鳴海の側に居るのだと言う。

神様のメモ帳050

「最近、この界隈で新型のヤクが出回ってる」
「その売買ルートの解明を頼みたい」

「薬物の名は?」

「エンジェルフィックス」

「はっ」

俊夫と別れて数日後、ニート探偵事務所には四代目が平坂組の仕切る地域で犠牲者を出した薬物の売買ルート解明を依頼に来ていた。

鳴海は、四代目の口から出されたその薬物の名前を聞き驚く。
それはついこの間会った俊夫が使用していたドラッグだったからだ。

神様のメモ帳051

「僕ってお兄さんの代わりなの」
「僕なら何とか出来るって」

エンジェルフィックスの数少ない情報源であろう俊夫。
その俊夫のしている行為を気付かせない為、彩夏の側について見張っていた鳴海。

そんな鳴海を前にして、兄の心配と不満を口にする彩夏に対して鳴海は一抹の不安を覚える。
自分は兄の駄目な代わりに心配をされ、彩夏の自己満足の為に一緒に居てもらっているだけなのではないのか・・・と。

学校で、ある意味初めてマトモに会話を交わした相手。
ニート探偵事務所という大切な居場所を教えてくれた相手。
アリスやテツ、そして他の多くの人達との絆を繋ぐ切っ掛けをくれた相手。

それが、もしも唯の憐憫の情からだとしたら・・・。
信じていた筈の物が崩れ去り、二人の間には目に見えない溝が生まれてしまう。

神様のメモ帳052

「ゴメン」

二人の関係を象徴するように破れ落ちる園芸部の腕章。

このまま、四代目と錬次のように何もせず、語り合わずに終わってしまっていい訳がない。
それを知っている鳴海は、今自分に出来る事である腕章の制作を必死に頑張る。

神様のメモ帳053

「これ・・・」

「なに?痴漢撃退マシーン?」

「やっぱ返せ」

彩夏との仲直りの切っ掛けになれば、と考え制作した『御園高校ガーデニングクラブ』の腕章を手渡した鳴海。
謝罪の言葉と、それを皮切りに自然といつもの調子に戻る二人。

四代目の一件と同様、二人とも距離を置きながらも互いに仲直りをする切っ掛けが欲しかったのだ。
神様のメモ帳054

「藤島くんは代わりなんかじゃないよ」
「藤島くんが、藤島くんだから。私は・・・」

「そっか・・・」

そして、彩夏の口から聞かされる本当の事。

今まで明るく、前向きに見えていた彩夏。
だが、人と接する事が苦手で、実は登校拒否もしていた。

そんな彼女が屋上で見かけた同級生、それが鳴海。

最初は自分と似た鳴海に興味を持ち、話をしたいと思っただけの彩夏だが、次第に鳴海の事を本気で心配し心を許せる関係になっていった。

切っ掛けはただの興味本位だったが、今は違う。
誰かの代わりでも、何かを埋めるためでもない。

藤島鳴海という人物と一緒に居たいと思うから、一緒に居るのだと。

神様のメモ帳055

「また、明日ね・・・」

そう言った彩夏の笑顔が鳴海の見た、彩夏の最後の笑顔になった。


何かをしていたらその笑顔を失わずに済んだのか?
彩夏の飛び降り事件を切っ掛けに、自分にできる事を必死にしてきたつもりだった鳴海の胸にそんな後悔の念が浮かぶ。

神様のメモ帳056

「どうして、どうして、どうして・・・」
「なんで・・・、何でなんだー!!」

いつも側に居てくれた彩夏の笑顔を繰り返し夢想する鳴海。
身近にあった大切な物すら守れない自分の無力さを改めて痛感し、その愚かさを呪う。

神様のメモ帳057

「アリス、君に依頼しに来た」

アリスと出会い、幾度も事件や問題に巻き込まれて来た鳴海。
だが、彼は今まで一度もアリスに事件の解決を依頼した事はなかった

それは結局、彼が部外者であり傍観者であったという事。
何より彼が死者の言葉を聞くべき立場に居なかったという事

だが、今回は違う。

救えなかった自分の大切な人。
取り戻したい掛け替えのない時間。


その為に今、彩夏の事件の真相を知りたい。

神様のメモ帳058

「前に僕が言った事を覚えているかい?」
「探偵は死者の代弁者だ。 墓を暴いて、失われた言葉を引きずり出し、死者の名誉の為だけに生者を傷つけ、 生者の慰めの為だけに死者を辱める」

「覚えてる」

事件の真実を知る事は彩夏の隠したい秘密を暴き、知りたくない真実を知る事になるかもしれない。
知ったとしても、もうどうする事も出来ない無力さと空虚を知るだけだ。

鳴海にその覚悟を問うアリス。

「知りたいよ」
「もう、僕の平穏は破壊されてる。それならいっそ・・・」

「分かった、引き受けよう」

だが、そんな物は事務所に来た時から決まっている。

鳴海の覚悟を聞き、正式に依頼を受けたアリス。
だが、この時点でアリスは既に事件が起きた理由を知っているという。

神様のメモ帳059

「何故なら、僕は止められたはずなんだ」
「僕が、もっと多くもっと早く知ってさえいれば・・・」
「でも、遅すぎた」
「全ては僕の・・・、だから僕は・・・」

そして、同時に事件を止められなかった事を悔いるアリス。

ニート探偵という職業ゆえの苦悩。

事件が起きる前に知る事が出来ない。
起きていない事件は解決出来ない。
ただ、『神様のメモ帳』に記された事実を見る事しか出来ないのだ。

それは救える筈の者を救えず、救いたい者すら傷つけてしまう。
何より、アリス自身を誰が救うというのか?

神様のメモ帳060

「見てくれるんだね、土の中で朽ちていくはずの残酷な真実を」
「それを暴く痛みを・・・、僕と一緒に」

「5%だけどいい?」

「ん?」

「僕が背負える重荷はせいぜい5%だけだけど、それでもよければ」

これまでの事から鳴海に救いを見出したアリス。
彼女は鳴海に自分の重荷を、苦しみを一緒に背負ってくれるのかを尋ねる。

アリスの全てを背負う事はできないかも知れないが、自分に出来る全てで支える。
以前にアリスに言われた言葉を使い遠まわしに、けれど率直な答えを口にする鳴海だった。

神様のメモ帳061


「そのアリスって奴に伝えろ」
「俺を見つけてみろ。捕まえてみろ。早くしないと飛んで逃げてしまうよ」

アリスの調査により、ドラッグの原材料がある花である事が判明する。
その花こそは、彩夏が温室で育てていた花『パパベル・ブラクチアトラム・リンドール』。

彩夏は俊夫に頼まれそうとは知らずにドラッグの制作に加担せられていた事を悔い、学校の屋上から飛び降りた。
恐らく、それが事件の真相だった。

神様のメモ帳062

そして、そのドラッグを作った制作者。
本当の黒幕『墓見坂 志郎』が浮かび上がる。

墓見坂は飛び降り事件の直前に彩夏と接触し、その時に手に入れた携帯で不敵にもアリスを挑発するかのような言葉を投げかける。

神様のメモ帳063

エンジェルフィックスの使用者には眼の下に特有の鬱血が出る。
それは第1話での佐久間翔子の死体にも出ていた症状。

彼女もまた、エンジェルフィックスの被害者だった。

神様のメモ帳064

神様のメモ帳065

「僕が飲む。それで売人を探す」

他人を不幸にし、何よりも彩夏も傷つけながら悪びれる様子のない墓見坂の言動に憤りを覚えた鳴海。

是が非でも奴を捕まえたいという一心からエンジェルフィックスを服用し、薬の使用者にしか見えない目印を探すという。

神様のメモ帳066

神様のメモ帳067

「ここがエンジェルフィックスの?」

「テメーらで潰れちまったか・・・」

ようやく見つけた墓見坂のアジト。

そして対面した墓見坂の口から語られるその目的と彩夏の事件の真実。

墓見坂はただこの世界に絶望し、多くの人間を自分と同じようにエンジェルフィックスが見せる世界へと逃避させようとしていたのだ。
その原料である花を作らされていた事に気付いた彩夏は警察に行こうとした為、エンジェルフィックスを飲まされその反動で飛び降りてしまったのだ。

神様のメモ帳068

「君に天使は迎えに来ない。君は王国に呼ばれていない」

自らが作ったドラッグで息絶える寸前だった墓見坂に対し、これまでの罪を償わず幸福なまま死に逃げさせはしないと無慈悲な言葉を囁くアリス。
その言葉によって墓見坂はバッドトリップに陥りながら、絶望の内に息絶える。

神様のメモ帳069

「立てよ」

「もう、どうせ駄目なんだよ」

「いいから立てよ」

彩夏を巻き込みながら、傷つけながら、自分の事ばかりを考え諦めてきた。
そんな俊夫を前にしてついに怒りが頂点に達した鳴海は、既にドラッグでボロボロになった俊夫に対しても容赦なく鉄拳を打ち込む。

人との絆は壊れないと信じていた鳴海の悲しみ。
信じていた絆を裏切られた彩夏の悲しみ。

大切な時間を失った二人の悲しみ。


すべてを吐き出すように。

神様のメモ帳070

神様のメモ帳071

「どうしたの?こんな時間に」

「僕の自己満足のためだよ」

過ぎていく季節の中、目覚めない彩夏だけが取り残されていく。
そんなある日の夜、鳴海はアリスによって学校へと呼び出され屋上へ誘われる。

神様のメモ帳072

「ニートというのはね、鳴海・・・」
「何かが出来ない人間や、何かをしようとしない人間の事じゃない」
「違うのは、ただルールなんだ」

サッカーの試合でバットを振り回す選手。
それは違う意味で心強いが、試合には出せないし出せば試合そのものが破綻する。

だからこそ、その人間は社会秩序、法律、平和、自由。
色々な大義名分のもと排除され、ニートという烙印を押される。

だが、ニートというのは生き様の事。
ましてや、働かない人間などではない。

周囲に溶け込めず、社会から爪弾きにされながらも自分の生き様を貫く矜持を持つ者。

神様のメモ帳073

「そして、僕はニート探偵」
「死者の代弁者だ」

アリスは意を決したように、彩夏の事件に残されていた真実を語りだす。

「彩夏はね、屋上を閉鎖するために、屋上から飛び降りたんだ・・・」

飛び降りるだけならば何処からでも良かった。
だが、敢えて学校の屋上を選んだ理由。

それは、鳴海と過ごした大切な場所。
二人で過ごした大切な時間を守るためだった。

神様のメモ帳074

神様のメモ帳075

「見てごらん、始まるよ」

鳴海の目の前に広がる花畑。

それは鳴海と彩夏の絆の印、『御園高校ガーデニングクラブ』のマークだった。

神様のメモ帳076

「彩夏は君の事を考えていたんだよ」

「彩夏・・・」

彩夏は朦朧とした意識の中で鳴海が言った『僕達の・・・』という言葉を思い出したのか、ただ屋上を守りたいと思ったのだという。

アリスが見つけてくれた、辛く悲しい真実はそんな都合のいい、勝手な憶測で締めくくられる。

だが、それは大きな喪失感となり、同時に救いとなり鳴海の胸に去来する。

神様のメモ帳077

「既に死んでしまった者、失われてしまった物に対して何か意味の有ることを成せる職業はこの世にたった二つしか無いんだ」
「つまり、作家と探偵だ」
「作家だけが、夢の中でそれを蘇らせる事が出来る」
「探偵だけが、それを墓の中から掘り返して情報に還元する事が出来る」
「だが、探偵が掘り返した情報は結局のところあらかじめ神様のメモ帳に記されている事実にすぎない」


最初に会った時、アリスが言っていた言葉を回顧する鳴海。

過ぎ去った過去、失った未来。
失った彩夏の笑顔、楽しかった彩夏との日々。

だからこそ、彼は今自分の胸の中で幾度となく繰り返し思い出し、この小さな探偵と奇妙で優しいニート達の物語を語るのだ。

神様のメモ帳078

『It's the only NEET thing to do(これがたったひとつの冴えたやりかた)』


【良作度】★★★★★

名探偵ではあるもののそれ以外は無力なアリスと、社会に爪弾きにされながらも一芸に飛び抜けたニート。
さらには裏社会の組織まで登場し、複雑化した現代社会の事件を解決するという新たな切り口で綴られた本作。

全体を通して、死者の代弁者の割に死人が少なかった。>えー

だが、その分生者に救いを与える厳しくも優しいシナリオとなっていたのが良かった。
『裏社会科見学』で、戸惑いながらも持ち前の人望を発揮して一人前の詐欺師に成長してゆく鳴海もかなり笑えた。>えー

推理モノには必ずといっていいほど死者の想いを解き明かす場面があるが、それは犯行の動機や悲劇的結末を演出するためであり登場人物を救う為でもある。
この作品ではそれを『神様のメモ帳』と呼び、時に残酷で、時に悲しい救いを与える。

だが、殺人事件では大切な人物は既に失われてしまっており救いは少ない。
だからこそ、この作品では敢えて殺人ではない事件を取り上げたのだろうか?

個人的にはそれが生きた人間同士の絆の大切さを訴える作品として良かったと思うが、二期があるなら是非殺人事件も入れてみて欲しいとも思った。

作画もそれなりに安定しており、シナリオも良。
特にアリスやメオの存在が目立ちながら、最後に彩夏が全部持っていった予想外の展開だった。
『GOSICK -ゴシック-のアブリルも塔から飛び降りて居たらきっと・・・

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版たったひとつの冴えたやりかた 改訳版
(2008/08/22)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

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萌える株主

Author:萌える株主
アニメ好きが高じて『萌え株』などへ投資し、最近では『株主優待』をメインとした銘柄の保有を増やしている。

簿記能力検定2級ファイナンシャルプランナー2級を保有。



このブログは株主優待アニメ作品に興味・関心を持ってもらう事を目的としています。

内容としては主にアニメの感想株主優待、ときどき催眠・洗脳作品についてつぶやいています。
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